食べ物とか旅行とか

東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

インドで注射

 さて、先日熱冷めあらぬうちに書いたブログで「病院にでも行こうっと」などど申しましたが、実際に行ってみました、病院に。特にこの2年くらい、時間を作って結構あちらこちらと行ったような気がするけど海外で病院に行くのは初めて。っていうか、病院嫌いだから行かなかった。ちょっと体調崩したくらいなら、「トイレに近い場所に常にいる」っていうルールさえ守ってぐったりしてればなんとかなったもの。旅行だから近いうちに帰れるし。薬は一応持ち歩いていたけどせい●がんは体に悪い論信奉者なので、せいぜいビオフェルミンアリナミンくらい。気休めには十分である。

 しかし今度は訳が違う。こんな熱は日本でもなかなか出したことないんじゃ?と思うくらいしんどかった。それをオーナーに片言の英語とヒンディー語で話してたら「ドクトル!インジェクシュン!」の二言!病院に行って注射打ってこいって事らしい。あー、やだなやだなやだなやーだーなーーーー。だいたい海外で病院?!まさか!国民健康保険とか効かないでしょ?税金払ってないもん!しかもインドの病院でしょ?どんなだよ!なんか一度だけ知り合いに付き添っていったバンガロールいちでかいManipal病院だって、近代的な病院と言われているものの、なんかすげー人がごったがえしてたし、街中の喧騒をそのまま病院内に持ち込んだって感じだったし、大丈夫かなー。。。しかも、Manipal遠いし。

 でも行った方がいいのは確かなのでぜえぜえしながら予備知識を叩き込む。まずは症状を説明するのに必要そうな言葉を辞書で調べてとなえる。それから日本から持って来た病気についての資料。また、旅行保険の保険金受け取りに必要な資料、などなど。備えあれば憂いなし、ですな。

 病気についての資料は予防接種の時にもらったやつなんだけど、書き方が下世話でなにげにうける。例えば

「生水は飲まない事。また氷は生水から作られることが多いのでなるべく取らないこと。」までは普通だけど「ウイスキーなどと一緒でも消毒効果はありません。」

 おっさんとか、飲み呑み学生あたりがよく言い訳に使いそうな「アルコールで消毒だよしょーどく!」みたいな台詞も一蹴であーる。

また、慎みたい行動の項目では1:川での水泳 2:ホテルのプール 3:野犬 となっているのだけど、3の野犬は慎みたい行動に含めるにはちょっとおかしいというツッコミはさておいて、

川での水泳:本当に泳いだ人がいて猛烈な下痢を起こしました。検査の結果はコレラ赤痢のダブルパンチでした。(中略)インドにはリピーターが多く、慣れることによって川で泳ぐ人も出てきそうですので…。

と、なんとまあ人情味あふれる解説だこと。

他にも実用的な指示もいくつかあったのでインドで病気になって困った時に役立つトピックス、

インドは衛生状態が悪く日本にいる菌とは種類が違うので、日本にいる時の感覚で「だいじょーぶっしょ」と思わないこと。すみやかにとりあえず病院に行ってみるのが良し。日本人は薬で抑え込むような素人療法に走りがちである。特に抗生物質の乱用は効果のない場合、逆に悪化する場合もあるので慎むべき。

 公立病院は料金が安く利用者も多いので旅行者には利用しづらい。大きめの市立病院や個人病院へ行くのが比較的分かりやすいだろう。ホテルに泊まっているのならホテルの人に相談すれば応じてくれるはず。どうしても困った時には日本大使館に相談すれば、一般診療こそしてくれないものの病院の紹介とか指示をしてくれるので利用すべし。(そういえば昔、古畑にんさぶろうでどっかの国の大使館で事件が起きた!っていう回があったけど、その時の専属医師ってのはこれまた暇そうだったなー。)

 で、私のインド初通院体験なんだけど、結論から言うと「や、やさすぃー!」って感じ。
私が言ったのは、近くにあるごく小さな個人医院。間口2メートルほどのこじんまりさである。
まず昼下がりに行ったら思いきり昼休みで、午後の回は17時〜21時。こっちは朝も早いけど夜も遅くて、薬局なんかも平気で22時までやってたりする。医者の中には18時〜20時だけオープンってのもあるし。で、あらためて学校の後に行ってみる。着いたのは20時過ぎで、その時点で待ってるのは2組。思ったより空いてて良かった。と思ったら後から続々と5組くらい入って来た。受付なんかはなく、前の患者が診療室から出て来たらすかさず入って…という感じ。だから、自分の前には誰で、誰が私より後なのか、ちゃんとチェックしておかないとならない。一応、診療室の入り口の横にあるいすに座っているのが次の人ってのは暗黙の了解になっているようだけど、私が2組済むのを待っている間になんと2組割り込みされた!1組はいかにも具合の悪そうなおばはんで、次の人に「先に行かせてくれない?」と頼んでたけど断られてたのでまあ私はそこまで今は辛くないし「キツいんだったら先に行っていいよ」と譲ってあげた。そしたらそのおばさんの前に別のおっさんが現れて「なんたらかんたら」とおばさんにまくしたてて先に入っちゃった!おい!もう自分の番はドアに張り付いてキープ。

 さてドアが開いた!さっと滑り込むとそこには、、、

 あれ、にこにこしたおっさんが1人。あのー、前から不思議だったんですけど、インドの人って黒髪で髪の色は日本人と一緒ですけど、なんで髪の毛を染める時はみんな赤にするんですか。んーおしゃれ?

 と聞きたくなるけど、とりあえず「座ってちょ」と言われるので座って、事前にチェックしといた単語を並べ立てて説明。それから薬局で昨日買って飲んだ薬を見せる。それからベッドへ。

 することは日本と一緒。あの聴診機?だっけ。あれで音を聞いておでこ触って「なんちゃらは大丈夫だけど、まだ熱があるね。とにかく明日は1日休んだ方がいいよ。」"なんちゃら"はその時は理解したんだけど、もう忘れた。んで、ふー結構楽勝だったぜ。と思ってベッドから降りようと思ったら「尻に注射するからそのままで待ってて」と言われる。


「え?いまなんと?」



プスッ



なんてさすがに唐突に刺すようなまねはしないけど、初めて腕以外に注射をされた。。いくら針は細くても、痛いものは痛いな。

それから薬の説明と世間話。この医院にストックのない薬は処方せん(メモ走り書き)を持って薬局でゲット。昨日買った薬は飲むなと言われる。それから、今夜の夕食はお米ではなくパンとコーヒーのみ。薬はお湯で飲むこと。

 オーナーに熱っぽいって言った時にも言われていたんだけど、まさかパンとコーヒーが病人食のスタンダードだったとは!もともとお米を好んで食べる人ではないので、むしろ久しぶりにパンが食べられて嬉しい!くらいの感じ。そして薬はお湯で飲めとのこと。

 そしていよいよ緊張の一瞬。支払いである。この病院では受付もないし看護婦もいない。最初から最後まで全てこのおじさん1人である。患者は絶え間なく滑り込むようにして診療室に入ってくるので休む暇はあるのか?と思ったらたまに「5分待って」とか言うらしい。私は国の保険はきかないので果たしていくら請求されるんだ?!事前に見た資料では「風邪でも数千円から数万円請求されることがあ」ると書いてあったので、ありったけを持って来たのだ。なんとか足りますように!!それでも「ほい、1万円」と言われたら払えねー。保険金の請求は後からだし。銀行行かなくちゃ。。。と思っていたの。そして、おそるおそる聞いてみた。「おいくら万円?」


「100円。」(アバウトに日本円へ換算した場合)


「                 …。」


と、とっても安堵な気持ちで病院を後にできたのである。本当に助かった。月末で家賃も払っちゃってお金なかったし。最後まで笑顔を絶やさず、世間話までして緊張をほぐし、ちゃんと薬の説明もしてくれて、素晴らしい先生であった。ドクターポンナヤ最高!

 という訳で、みなさん、いかに個人医院がみすぼらしくって入りがたくても、内容は素晴らしかったりするので安心して通院しましょうー。この額じゃ保険金請求するほどじゃないな。切手代とかとイーブンである。果たしてこの額がインド人にとってどのような価値に値するのか判断しかねるけど、日本の病院は「お金がないし時間もないし」っていう人間にとって最悪の環境であるのに対して、まあ時間もないしって人でも2時間待って5分でおしまい。ってほど突き放した感じは受けないし、他の物価と比べても「医療にはお金がかかる」っていう程ではないような気がする。おそらく大きな病院に行けばもっと高いと思うけども。これはたまたまうちの近くの小さな病院に行ってみたらこうでしたという一例であります。

 さて、明日も教師職を休めることになったので、羽休めに映画でも行こうかな。映画なら座ってるだけだから安静だし。あ、ついでに市場に行ってシャツ買って、自転車用品も見てみようかな。わくわく(ちなみに、学校のパソコンがなぜか全5台壊れたので直してって頼んでいた校長にあたるポストの人物は現在シンガポール&韓国に高飛び中。帰ってくるまでの1ヶ月、どうやって授業をすればいいのだ。もう2週間以上前から頼んでいるのに。そんな色々なぐろいものが渦巻いた学校にいる、素直な生徒達をなんとな助けてやりたいなあと思うのであるのである。最初はパソコンが動かないなら授業受けたくないと言っていたのに、最近はやっぱり授業をやってくれと頼んでくるようになった。そして私は学校にいる間はSirになる。)

後日談:ちなみに翌日以降、前を通ると常に外まで行列ができていた。前に2組だけだったというのはラッキーだったのかも。

<参考までに100円でできること&買えるものシリーズ。>
バス全線1日乗り放題
昼ご飯2回
パン8個
インターネットカフェ2時間
映画2〜3等席1回
コーラ2リットル
せっけん2個
写真焼き増し8枚
一番安いボールペン8本
電気機器が電球3個&パソコンのみで1ヶ月暮らした場合の電気代
ミネラルウォーター5リットルミニタンク