食べ物とか旅行とか

東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

建物がなくなる事は記憶が失われる事だ

 文学部キャンパスの33号館がなくなるというのが、最近静かな波紋を広げているように思う。文学部の校舎は村野藤吾という理工建築出身の建築家が、出過ぎず地味すぎず、でも文学部学生の感性を刺激しながら味の出てくる校舎を目指したようだ。(「一寸」第30号 書痴同人会) 確かに、入学当初は「なんてパッとしないキャンパスだろう。夜になると色味ないし。」と思っていたが、動線とか窓の作りとか、夜中庭を照らす電気とか、そういうどうでもいい場面が結構脳裏に焼き付いているみたい。こないだ配られた説明書きによると工事にはまず3年、そしてさらに仕上げまでに2年くらいかかるらしい。その間、広場にある見苦しいプレハブ校舎は鎮座し続け、工事の囲いによって学生の動きも大幅に制限されるらしい。スロープが通路くらいの広さしか通れなくなるなんて、その景色でほとんどの文キャン生活を過ごす学生にとって、大きな損失である。こういうのって逸失利益っていうのかな。どんなビルが建つのかも全く知らされておらず、もやもやした気持ちは全く拭えない。

 建物は、出来上がった瞬間が一番美しくあってはならない。