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東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

やめてもいいんだ、仕事なんて

 仕事を3年以内にやめる若者が多いってのはずいぶん前から聞くけど、今日のニュースで大学で指導義務化?みたいなのがあった。あほらしい!と思わずにはいられないけど、だいたいの大学では危機感丸出しで対策してるんだし、あとは若者の意識と企業の姿勢の問題だろうと思う。


 1:企業の問題 本音と建前

 日本の就職スタイルの1つの特徴が、理系文系別採用。理系であればこれまでの研究成果が問われ、それにつながる職種につくことができる可能性は高い。が、文系はそうでもない。営業か事務(マーケティングとか他にもいろいろあるけど)といった大きなくくりで入社して、実務は入社してから教わるってことが多いと思う。だから、学生がどんなに想像力を働かせて、仕事をイメージしようとしても現実感があまりない。インターンだって、準備の早い就活優等生の特権だ。入社してから教わる分、職業としての専門性は配属によるわけで、興味がないのに経理なんかに配属されると、転職する際にも「経理のプロフェッショナル」みたいな枠を探して応募するはめになる。ああ、悲劇。

 何が言いたいかというと、入社する前の企業メッセージと、実際に働いてから感じる会社のイメージ、労働環境にはギャップがないことの方が少ないということ。大学受験の時には「完全に希望通りの大学なんてない。どこに行ったってギャップはあるし、ショックは受ける。が、大切なのはそのギャップを少しでも小さくしようとする努力。受験では勉強の量でギャップを小さくする事ができる。」と代ゼミで言われた。今でもそれは間違ってなかったなーとは思う。企業においてのギャップとは、日々の仕事をする上でのモチベーションの方向と、残業とかのサービス部分だろう。どんなに立派なメッセージを発する企業でも、そこに集う社員が消耗しきっていたらそんなに悲しい事はないだろう。残業はあんまりありませんとか言われても、実際は50時間くらい恒常的にあったり、初任給24万て書いてあって結構いいなと思っていたら、色々さっ引かれて手元に残るのは18万円だったり(さらに一人暮らしの家賃が…とか)、年収はボーナスにかなり左右されるのに、すごく少なかったりとか。ふたを開けてみないとわからないことがたくさんありすぎるのだ。かといって、じゃあ見においでよ!といって部外者がズカズカと入れる訳じゃないし、社員だってそんなに暇じゃない。そんな暇な会社があったら、私が入社したい。

 2:若者の問題 モチベーションの方向性

 ある特定の企業で働く事が、高収入、有名、やる仕事がデカい等々、なんでもいいけど自分のステータスになるならば、人間がんばれるもの。だけど、そんな会社は世の中のごく一部だろう。じゃあ、何をモチベーションに働くのか。たぶん、自分の中にある小さな目標だろうと思う。百万円と苦虫女という、あまりおもしろいエンディングを迎えない映画があったけど、ようはそういうことである。百万円貯めたい、マチュピチュに行きたい、こんな企画を立ち上げたいと、仕事内外関わらず何かしらの目標があれば、多少仕事がつらくっても人間意地っ張りになってがんばっちゃうものである。けど、給料が思ったより安いなー、派遣でもした方が定時に帰れるし給料あんま変わんないし。とか思い始めたらもうやる気はどこへやら。もらうお金と働く時間だけど目盛りにしたら、ちょっとよい条件を示す環境があれば簡単に乗り換えるだろう。だいたい、フリーターでも行きてゆけると思えば、あくせく責任ばかり押し付けられる正社員なんてやる理由がないじゃないか。
 個人的には仕事以外のところに目標を持つと案外長続きするんじゃないかと思う。希望の会社に入って、自分のやりたい仕事にたどり着くという可能性は高くはないかもしれないし、第一時間がかかるものだ、思ったよりは。だったら、小説家のコンクールで入賞するぞとか、写真展を開きたい、とか仕事と関係のないところにモチベーションをおいて、あくまで平日働くのはその補助的目的とすれば、仕事ってなんだっていいんじゃないかと思えてくる。つまり、どの会社のどの部署だって。まあそこで出会う人間との付き合いで人生の広がりは変わってくると思うので、そのあたりは気をつけて考えてみる必要はありそうだけど。


 結局3年以内にやめる若者が増えるというのはよいことなのか悪い事なのか個人レベルでは知ったこっちゃない。企業で働く当事者とすれば、せっかく色々と覚えてもらった部下にやめられちゃ新しい人が来てまた1から教え直す訳だから非効率きわまりない事ではある。若者が何を魅力としてそこで働いているのか、若者が目指す場所を見せてやれるかどうか、そのあたりがキーになってくるんじゃないかと思う。

 と、一番仲の良かった同期が会社を去ることにしたという知らせを受けた今日、考えてみた。