食べ物とか旅行とか

東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

チベット

ちょっと長くて申し訳ないけど

富士山とほぼ同じ、標高3650メートルに位置する中国チベット自治区のラサ。チベット仏教の最高指導者、歴代ダライ・ラマが暮らしたポタラ宮から約6キロのリゥ村は、山すそに裸麦の畑や牛の放牧地が広がる。

 村を東西に流れるラサ川の河畔で、ポタラ宮と同じ赤と白を基調としたラサ駅の建設工事が急ピッチで進んでいた。「世界の屋根」と呼ばれるチベット高原を貫く青海チベット鉄道の終点。青海省の西寧とラサを結ぶ全長1956キロ。世界で最も高地を走る本格的な鉄道とされる。

 ラサ駅周囲には物流基地やホテルなどが集まる経済開発区の建設も始まり、多数のトラックや建設労働者が行き交う。レールは駅まであと10キロほどの地点まで敷設され、10月末までに開通する予定という。

 全行程のうち西寧−ゴルムド間は1979年に完成したが、その後、技術上の問題などから工事は中断していた。江沢民(チアン・ツォーミン)・前政権が沿海部と内陸部の経済格差を是正する「西部大開発」計画をぶちあげると、目玉プロジェクトとして、01年6月からゴルムド−ラサ間1142キロの工事が再開された。正式な営業運転は、北京五輪開催を1年後に控えた07年7月を見込む。

 沿線は、世界で類をみないほどの厳しい自然環境だ。標高4000メートル以上の区間は960キロ余りに及び、全長の48%が冬は凍りやすく夏は解けやすい凍土区間。約400キロにわたる人の住めない「無人区」も通過する。気圧は北京の半分程度、年平均気温が0度を下回るところも多い。最低気温は零下45.2度まで下がる場所もあるが、年間日照時間は3000時間と日光は鋭い。雷や砂嵐、吹雪も多い……。

 技術的な課題は多く、海外の先進技術も採用した。客車の製造を担うのは世界有数の航空機メーカー、カナダのボンバルディア社。気圧の変動に対応するために航空機の技術を応用した。高山病の対策として人工的に酸素を製造し、密度を感知して自動制御で送り出す仕組みを導入した。緊急時には座席脇のマスクで個別に吸入もできる。

 窓は特殊強化ガラスを採用した二重ガラス。トイレは真空式。環境保護に配慮して汚物は圧縮し、車内に集中管理して決められた駅で処分する。運行システムにもカナダ製の無線移動通信技術(鉄道用GSM)を採用する。

 旅客列車は北京や上海、広州などと結ばれ、北京−ラサは48時間程度で走る予定だ。五つ星ホテル並みのシャワー・トイレ付きの個室や、天井をガラス張りにしたパノラマ車もつくる。

 ボ社の張剣●(チャン・チエンウェイ)・中国首席代表(48)は「沿線には無人地帯もあり安全性への要求はとても厳しい。あらゆるプロジェクトの中で最も難しかった」と振り返る。

 軌道の敷設は、凍結と溶解によって不安定になりがちな凍土対策が鍵だった。鉄道省は、地表の熱の変化を抑えるため、路床に突き刺して熱を放出する「熱棒」や、通風システムなど多様な技術を採用。チベットカモシカなど野生動物の移動ルートをさえぎる恐れから、高架橋など動物の通り道を33カ所つくった。中央政府が投入した金額は計330億元(約4600億円)にのぼった。

 ◆観光産業 発展を期待

 「新幹線ができて日本の高度経済成長が進んだように、チベットも鉄道開通で発展が始まる」

 自治区商務庁の高尚徳(カオ・シャントー)・副庁長(45)は期待をかける。自治区は経済発展が遅れ、中央政府などからの「援助漬け」が実態だ。食糧や資源、生活物資の多くが自治区外から運ばれ、日用品の物価は15%増し、ガソリンは6割も高い。当局は鉄道が年800万トンの物資を輸送すれば物価も下がり、年2億元の節約ができると試算する。石油など天然資源の開発や、インドなどとの国境の国防物資の輸送も大事な役割だ。

 昨年の観光客は122万人。総収入は自治区の域内総生産(GDP)の7%を占める。観光客はさらに年90万人増えるとみられ、ラサでは外資系の五つ星ホテルなど10軒近いホテルが建設を始めた。

 漢族の移住が進み、遊牧生活中心だったチベット人の生活や意識も変わるとみられる。中国の武力鎮圧により亡命し、中国政府と対立するインドの亡命政府側は「チベット文化の希薄化を速める」との危機感を持つ。在日チベット人で、桐蔭横浜大学ペマ・ギャルポ教授はこう批判する。「鉄道は軍事目的であるうえ資源も収奪され、恩恵を受けるのはわずかなチベット人だけだ」

 一方、高副庁長は「沿線のチベット人にとっても就職などのチャンスが増える。伝統文化は守らなければいけないが、遅れた生活も改善しなければならない」と説明した。

 全線開通すれば、年内にも石炭や食糧などを満載した貨物列車の第1便が試験運転を始める予定だ。 (アサヒコム)

 ●は「火」の右に「韋」
http://www.asahi.com/international/weekly-asia/TKY200510040139.html

 前回の中国旅行では念願のチベットへは行く事ができなかった。それはチベット解放の60周年記念祭とやらで観光客の入鋏が禁止されたからだ。中国では大都市は問題ないけど、旅行は比較的まだ不自由。チベットもその一例で、不便な場所にあるために行き方が限られる。だけではなく、入境許可証なども必要だ。実際には航空券に含まれるのだけど、外国人立ち入り区域等色々あって、不安要素が多い。そのチベットに世界最高峰の鉄道が完成しようとしている。チベットは標高が高いため、高山病にかかりやすく、対策が必要となる。小さい酸素ボンベを持って行ったり、最初の日は静かにしているとか。高山病はひどくなると死に至る可能性もあるため、到着してから改善が見られなければ下山せざるを得ないといいう場所だ。どうやって建設したのかは謎だけど、鉄道が完成して旅客列車が走り始めたらかなり観光客が増えるだろうと思う。行きやすくなって喜ぶべきか、ポピュラーになりすぎて悲しむべきか。尾瀬の開発のエピソードを思い出させた。
 昨日「セブンイヤーズ イン チベット」という映画を見たのだけど、チベットははっきりいって美しい。映画では撮影許可が下りないために中南米で撮影しほとんどセットだそうだが、きっとあんな感じなのだろう。宗教が生活に浸透し、非文明的ではあるけれど平和な生活だ。「西洋では頂点を極めたがるけど、私達にとって目立つ事は重要じゃないの。」みたいな台詞があり、これはとても感心した。そこに中国政府が中国の一部と言う事で主権下におさめようとし…というあたりの映画だった。あー、チベット鉄道の裏にはこういうエピソードもあったりするのかなー。中国政府とチベット文化の差異があまりにも大きく、ショックを受ける。そしてますます中国が嫌いになりそうだ。ホテルが新しく10軒も経つと街の景色も様変わりしちゃうんじゃなかろうか。一度建ってしまえば、それに類するものの進出を食い止める事は難しいだろう。そのバランスをどうかうまくとりながらやっていってほしいなと願う。