食べ物とか旅行とか

東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

中国旅行20 さらば中国、そして日本へ

mokich2005-12-08


 帰る日は、友人と再会した事で何となく寂しい、でも嬉しい、複雑な気分だった。でもそんな事を言ってる時間はなく、私は2泊分のお金を払ったけど1泊しかしてないホテルに一度戻って荷物をまとめ、そして午前11時前までには港に到着せねばならない。幸い空港と違い、上海の旅客用の港はタクシーですぐだからよいのだけど、その前に中国茶とかバンブーチェアも買いたいし〜!という事で、友人に早起きしてもらって近くの商店街まで朝に連れていってもらう。中国の朝は早いようで、8時頃にはもう道は混雑!一番のにぎわいなのかな。子豚みたいのが丸ごと鉄の釜で何匹も焼かれていたり、ジャンクな手作り食品が屋台には並び、チャリはうるさい。あー、この街並ともお別れか。友人の寮に近いお茶屋さんに連れていってもらうが、ここのおっさんが超のんびり。お茶を飲ませてくれるのは嬉しいけど、あまり時間ないのぉー!まあ船が時間通り出航ってこともないだろうからいいんだけど、やっぱ早く着いておきたいのが哀しきさが。あとは大量のひまわりの種を買い込み、念願のバンブーチェアは理想通りのものが見つからなかったので断念。タクシーにてホテルへ向かう。しばしの別れだ、友人。
 ホテルに戻ると、ドミトリーの人たちが笑顔で迎えてくれた。っていうか、「うぉー!どこ行ってたのー!大丈夫だった?!10時までに戻ってこなかったら公安に行こうと思ってたんだよ。」という訳で、心配をかけてしまっていたらしい。昨日たまたま同じ部屋になって、小龍包を一緒に食べたくらいの仲なのに、そんな心配してくれてありがとうございます。世の中そんなに捨てたもんじゃないかも。確実に、私の事をもっと知っている人だったら、「あ、早かったね。」位で済まされるような気がする。この部屋にも同じ船で日本に帰る人が2人いて、一緒のタクシーで向かう事に。1人はさわやかな大学生と、もう1人は内陸の大学に留学していたお坊さんみたいな風貌の人で、2人とも中国語結構上手。チベット土産とか見ながら、また行きたさがつのってきてしまう。
 ターミナルへは11時過ぎ頃についたが、案の定まだ出国審査さえ始まっていなくて、ロビーには大量の(ほんとに大量!)の荷物が積み上げられ、それ以外の場所に人間がかなりの密度で、ゲートが開くのを待っている。0時出航ではあるけど、30分前の11時30分にゲートが開く。だいたい、このターミナル、ただの汚い倉庫街にあってすごく目立たない。タクシーの運ちゃんも場所が変わった事知らなくて、違う所で降ろされそうになったし。出国審査でも不思議だったのが、パスポートにはハンコが押されなかった事。入国の時も、パスポートとは別に普通の紙に貼られたシール式の観光ビザ(普通はこれのシール部分をはがしてパスポートに貼るけど)をもらって、ずっとパスポートに折り畳んで挟まっていたのだけど、これが結局この審査の時に回収された。パスポートには神戸港の日本国出国のハンコだけが残る。なんか残念。中国の長期ビザを発行する条件に、今持っているパスポートに1度でも中国のハンコが押してある事っていうのがあって、今回の入国がその条件に当てはまらないようにするためかしら。とか思ったけど、やっぱ理由が分からん。そういえば、日本のビザってどういう柄なんだろう。私達には決して見る事ができないし。
 無事13時に出航。バンド地区のみょうちくりんなタワーやビル街が遠ざかる。あちこちで建設中の建物が見える。こんなに開発をしてこの国はどうなってゆくのかな。たとえまた来年来たとして、全然違う景色になっているのだろう。登録していない人口が1億人近くいると言われるこの国で、そしてそんな1億人が問題にされない大国において、あまりにも私達のスタンダードとかけ離れている隣の国で、今日もこうして「成長」が形として目の前に誕生し続けている。ああ、どうなってゆくんだろう。結局、名残惜しいのか不安なのかわからなかった。
 去年沖縄でやられた時期と重なり、台風が後を追うようにしてやってくる。船が出ただけマシか。まあ乗っちゃえばこっちのもんだという考えが甘い!と思い知らされたのは数時間後、日本海に出てからだ。揺れる揺れる、船が揺れまくる。しかも沖へ出る程強くなるような。廊下を歩いていても、両手を横にのばしてふらふら揺られながらジグザグ走行。当然寝ていてもぐらんぐらんする訳で、ハンモックに寝たいと切に願う。ていうか、あれも揺れそうだからドラえもんに宙に浮くマットでも出してほしい。いやどこでもドアの方が早いよ。とかくだらない事を考えるだけで精いっぱい。食堂の入り口や廊下には、おそらくエチケット袋だと思われる袋がどさっとひっかけられており、まあここでどばーっとやったら、揺れてるから余計被害は拡大しそうだからな。そんな訳で、公開の中日、2日目は1日中グロッキーに過ごした。ただ、感激したのは関門海峡にて。ここを過ぎて瀬戸内海に入ればもう穏やかになるのであるが、これが2日目の夕方、丁度日没の時刻だった。私はこんなにきれいな空を今まで見た事あっただろうか。雲がもくもく出ていたけれども、何にも遮られる事のない、空気のきれいな空を、こんなに懐かしく感動して眺めた事があっただろうか。そして見えてくる北九州工業地帯(推測)。コンビナートさえ、美しい。本当に、感激だった。帰って来たぜえ!と叫びたくて飛び上がりたくって仕方なかったけど、それは心にしまって、ひたすら美しい日本の空を眺め、深呼吸をしていた。ただいま。