食べ物とか旅行とか

東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

土門拳の撮った早大生

 今日までの大学での展示会。3月から「4月末までやってんだな〜なんとか行けるだろう」と思っていたら、気付けば最終日だった。展示会、展覧会とはそんなものだ。幸い土曜日もやっていてバイトもないので今日の予定は「土門剣」→千駄ヶ谷自転車屋→神保町で飲み会 に決定した。

 さて展示会だが、素晴らしい。単に卒業アルバムとそのキャプションがメインの展示でそれほど趣向に富んだりしている訳でもないが、純粋に卒業アルバムを通して早稲田の息吹を感じる事ができたような気がする。

 解説を読んでいると、1936、1937年の政経卒業アルバムの時から報道写真を意識した、学生のありのままを伝えようとする卒業アルバムを作ろうとし始めたのだとか。その写真には大学での風景のみならず銀座の喫茶店で語らう姿、松屋屋上の遊園地で遊ぶ姿、某君の家にて集う学生達、銭湯にてのぼせている学生…などなど。どこまで学生にくっついていったのだかよくわからない。そのかわり、そうもしなければ私達がそう簡単には知る事ができなかったであろう普段に近い学生の生活とか表情とか、見る事ができた。風呂でのぼせて一句なんて、なかなか風情がある。

 それと共に良かったのが様々な解説。早稲田の年譜も社会情勢と早稲田の情勢と、さらにウィークリーの左にあるような当時の学生の一言が載っている。土門拳の二転三転する職業と共に、その心境を語っているのか学生に向けているのか、会社を辞める心情みたいなものもあったし(もちろんカメラと絡めて)、年譜の中には早慶野球戦リンゴ事件なんてものもあった。リンゴ事件は決着が翌年までもつれたらしい。

 また、おそらく大学全体の設計?をした桐山氏の話で、大隈重信公の一文字に結んだ大きな口を想う時、門戸開放の門が思い浮かんだ。多くの志のある人間の出入り口として決して広くはないと想う。とあった。今ではその他の出入り口には門があるし、正面入口も一応夜は入れないようにガラガラ閉まるやつがある。しかし、数少ない「正門」のない大学。街もひっくるめて「早稲田」という精神を生んだすごい発想なんだと思った。

 展示空間も広過ぎないために、じっくり展示を見ても疲れない。美術館の1000円くらいするやつだと、たくさんある展示物に圧倒されて、後半は疲れてあまり印象に残ってなかったりするが、今日はその後自転車で→千駄ヶ谷→神保町と移動しても元気なくらい。ああ、良い1日であった。