食べ物とか旅行とか

東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

マイソール特集その2 インドの長距離バス

 今回の目的は、ストレスの原因となっているホストファミリーから逃亡する事と、バンガロール以外の街を見て自分を鼓舞する事。そしてマイソールパレスの日曜、祝日の夜だけに行われるライトアップを見るという事だ。

 目的が逃避行なのに、なんだか後ろめたくなって前日にホストファミリーの家の前を通ったので「明日からマイソールに行ってくるね」といって帰ろうとした。ら「何言ってんのよ!1人でなんていくもんじゃないわよ。今インドはすっごく危ないんだから、何かあったらどうするの。時間はまだまだあるんだから今度にしなさい。」前半は正論。しかし、後半は逆らいたい部分。行きたいのはマイソールだけではないし、もしいい所だったら近いからまた行けるし、もう2ヶ月以上経っているのにまだ1ヶ所も観光しないで一時帰国するなんて寂しすぎるもん!それから、どうやら1人ででかけるというのが彼らにとっては不思議な事のようだ。大学の友人にも、同じアパートの人にも、そしてもちろんホストファミリーにも「1人で?! え?1人?!」という反応をされた。私にとって、旅行は1人でするものというのが当然だったのでこれには戸惑う。

 マイソール行きのバスは頻繁にでてると言われたので当日、適当に起きてだらだらとタオルなんかを詰め込んでバス停へ。こういう時に大きなリュックをいちいち持ち運ばなくていいのは住民の特権だ。南京錠がかけられるようにチャックのついているリュックを持ってくれば良かった。今持っているリュックは、紐でぎゅっとしばるタイプ。そして、今日は水道の送水日だったのに、水がめを誰かに託すのを忘れた。こないだの木曜日は帰ってきたらもう送水が終わってたし、1週間交換してない水を飲むのは気が引ける。今週はミネラルウォーター買わなくちゃなあとか考えながら、市内で一番大きいバス停「マジェスティック」へ。バンガロールには大きく分けてたぶん3つくらいのバスターミナルがあって、一番大きいのがここ。駅前にあり、ほとんどのバスがここから発着してるんじゃないかな。初めて行ったんだけど、その大きさにびびる。先が見えん。
 歩道橋を渡って長距離バスのターミナルへ向かうと、むしろこっちの方が整然としているくらいだ。長距離バスターミナルの構造というのはどこの国でもだいたい一緒なのかな。だからそれほど混沌としているように見えないのかもしれない。しかし、行き先がカンナダ語で書いてあるからわからんなー。そして止まっているバスのほとんどが2+3列シート。つまり1列に5人座れるのだ。普通日本の観光バスって補助席なして42人くらいが相場だと思うんだけど、そして最後部は5人席だと思うんだけど、あれは普通に満席になれば55人くらいいけるんじゃないかな。マイソール行きのバスはどこか近くの警官に聞けば、反対側に専用のホームがあるというので行ってみると、なんとボルボバスが3台止まっていた。

 東南アジアなんかじゃだいたいそうだろうけど、バスとか電車の料金はエアコンがあるかそうでないかで大きな料金の開きがある。しかもボルボバスは最高級。乗り心地も抜群。これは高くて当たり前。しかし、普通のバスが全然来ないし、早く乗っちゃっていきたいしということで、とりあえずボルボバスに乗車。帰る時はもし普通のバスがあったらそれで帰ろうと思った。席は2ー2列の自由席。座ってから運転手が集金に来た。片道150ルピー。さすがにいすもふかふかしてるし、客層も結構品が良い。運転手も黄土色のおなじみの制服ではなく、純白である。そしてミネラルウォーターもついてきた。びっくりだな。もちろんDVDもついているので、3時間の道のりの2時間ちょっとは退屈しないで過ごす事が出来る。なによりも足が伸ばせるバスって初めて乗ったよ。しかし、お金を払ってから財布を見てみると、あまり金が入ってない。ああ、バス代は100ルピー以下、宿泊はドミトリー25ルピーって見積もってたから、500ルピーくらいしか持ってきてないんだった。。いきなり残高は500ルピー→350ルピー。

 インドでは男女が隣同士で座る事はよくないことみたいで、市内バスでは車両の前半分がレディースゾーン。後ろ半分が男女ゾーン。だけど、実際は99%男。バスの乗り降り口も前と後ろにあるが、男は基本的に後ろから乗り降りしなくてはならないのが暗黙の了解のようだ。長距離バスでは前半分がレディースっていう訳ではないようだけど。だから、私の隣は原則男になる。それがどうって訳じゃないんだけど、一番前の席にじんどったために、おばさんなんかが乗ってくると「ちっ一番前があいてるのに座れねーや この外人め」みたいな事を思われているのではないかとちょっとびびる。

 10分ほど経ったら発車した。後ろにまだ2台も待ってるしね。とにかくこれだけバスの本数があるというのは便利だ。そして初の高速道路に乗れるのかと楽しみにしていたのだけど、いつまで経っても一般道を走っている。

 一般道にはおなじみの牛はいるし、途中に障害物みたいのがある。大きく分けて2種類で、1つは検問なんかの手前にあるような道路を埋め立てる時に故意にこんもりした部分を作りスピードを出し過ぎるのを防ぐやつ。これは街の至る所にある。市内バスは前輪が通過する頃にはもう加速しているので男性陣が乗っている後部車両はものすごくはねる。たまに体が中に浮く。立っていても浮く時は浮く。しかしさすがボルボの運転手。後輪が通過するまでしっかり減速をキープしたままである。使い分けてるのかこいつら。もう1つの障害物は、鉄柵を道路の半分にずらして1ヶ所ずつ置き、S字のように走らないと通過できないというもの。これは今まで見た事なかった。結構ギリギリの間隔なんだけど、これに関してはほとんど減速せずに通過していた。ドライブテクニックもすごいが、遠心力もすごい。それでも、DVDから目をそらさずに映画を見るのはなかなかスリリングである。

 あまりスピードを出さないボルボバスは噂通り3時間後にマイソールのバスターミナルに到着した。さて、泊まる所を探さなくては。