食べ物とか旅行とか

東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

こういう詐欺には気をつけよう

 さあて、遥か昔にマイソール1泊旅行特集をしたのだけど覚えている人はいるだろうか。自分でもすっかり忘れてたのをさっきふと思い出したので続きを書く事にした。

 予備知識:マイソールはバンガロールからバスで3時間ちょいの小観光都市。観光スポットとしては元マハラジャの家であったマイソールパレスとヒンドゥー教の寺が頂上にあるチャームンディー丘くらい。街はこじんまりしてるのでのんびりするには悪くないが、ちょっと退屈するかな。ここからさらに3時間くらいのウーティ(標高が高いため今の時期は夜には3度とかになるらしい。元イギリス人の避暑地。)と合わせて行くのが効率的かもしれない。あとはインドラギリもおすすめ。

 前回までのおぼろげなあらすじ:マイソールに1泊旅行に行ってこよう!と思い立ち日曜日の午後に出発。ボルボバスしか来なかったのでゴージャスに最前列でDVDを観賞しながらのバス旅行。バス停裏の、安いけどダニがちょっといるホテルにチェックインしつつ、日曜日夜、マイソールパレスのライトアップに感動。そしてパレス前に群がる屋台をはしごして満腹。翌日チャームンディーの丘とマイソールパレス内部へ。マイソールパレスから出てくると、名俳優が待ち構えていた。

 せっかくだからと思い、来る時には右から来たので今度は左からマイソールパレスを半周してホテルに帰ろう!と思う。これでいちおうマイソールパレスを一周。全く意味のない事だけど、来た道は別におもしろくなかったし、こっちでいいや。くらいの感じ。まあ、こっちも全然大した事ないんだけどね。

 バンガロールには物乞いが非常に多い。道ばたに座り込んだのもいれば各お店を一軒一軒廻って1、2ルピーずつ稼ぐ人、ヒンドゥー教の神様みたいな格好をして各家を廻って勝手にお祈りをしてお布施を求めたり、お祈りの代わりにらっぱを吹く人、ありがたい着飾った牛を連れて各家を廻るおじさん、信号待ちの車の横で、子どもに側転なんかをさせる母親、ガネーシャの絵を首からぶらさげ移動ヒンドゥー寺をする子どもなどなど。バリエーションがとても多い。たまに見た目普通にお金もってるおばさんも同じことしてお店回ってたりする。なめんなよ?!  んで、ここでもやっぱ、来た。と思ったらちょっと違った。

 なんか話しかけてきたからお金ないし〜(80%ほんと)と思って無視しようと思ったら、比較的わかりやすい英語で話しかけてくる。ん?なんか違うかも?と思い足を止めてみた。このじいさん、小柄で7人のこびとみたいな感じでかわいらしい。んで、経歴がはんぱじゃない。10カ国語がしゃべれて、鉄の会社に勤めていたので川崎とか知ってるけどまだ行った事ない。ついでに元教師で詩人。

で、何を言いたいかっていうと、お財布盗まれちゃってケララにあるお家に帰りたいんだけどバス代がない。ほんとに1ルピーももってないからお家に電話もできない。銀行の通帳もあるんだけどほら見て、5ルピーしかないの。水も飲めない、食事もできない、でもここはインドだから道ばたで寝てたって誰も気にかけず僕は死んで行くだけなんだ。

と、文章で見ただけでは「は〜でたでた」って感じなんだけど、なんと最終的に目に涙を浮かべ訴えてくるではないか。かたり口調もなかなか上手でぐぐっと心を揺さぶられる感じ。おまけに身分証明書と銀行通帳とメルアドを見せてきた。

 インドには嘘つきがたくっさんいるけど、だからこそもしも!本当にこういう場面に陥った時に誰かに信じてもらおうとするのはすっごく大変なんじゃないか。みんな最初に「嘘だそれ」って決めてかかるから本当に悲惨な状況にあるこの人もかなり辛い思いをして朝から頑張ってるんじゃないか。

とここでもうお気づきだと思うが、いつの間にかうぜー→どうやって助けてあげようかしら に方向転換していたのである。もう、びっくり。そしてしまいには本当に同情して彼の望んでいたケララまでのバス代180ルピーには遥か届かないがある程度のお金をあげてしまった。最終的に信じちゃったんだもん。でも、あれが嘘だとしてもあの演技力にお金を払ったと思えば楽しい思い出になったのだからよいよい! 誰かに手を突き出すだけで1ルピーもらえるのが当たり前と思ってる道ばたのばあさん達、じいさん達にお金を上げるのは好きではないが、こういうのだったらありかも、とちょっと思った。(聞いた話だけど、稼ぐ人だと手を突き出すだけのタイプの人でも1日500ルピーとか稼いじゃったりするらしい。そしてその大半は酒とタバコに使うとも。偏見もあるかもしれないけどね。でもタバコ吸ってるホームレスはよく見るなあ。)

 そして「お金をあげてしまった」という表現に、あれ、と思ったかもしれないが、1週間後くらいにバンガロールの中心地、MGロードを歩いていたらこれまたつっかけのおじいさんが話しかけてきて「泥棒に襲われて身ぐるみはがされた。電車で田舎に帰りたいけどお金がない。電車賃が無理ならせめて食事する20ルピーだけでも(泣)。」と言われたのは秘密。