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東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

日本の名画を英語字幕で見てみた

 大学でアジア映画論という授業をとっていて、アジア地域の映画について先生が色々しゃべってくれるんだけど、インドのマハラジャ映画館とかタイの薬売り移動映画館とか、ミャンマー社会主義映画館とか映像でも見れておもしろい。んで、その先生はどっかの映画の機関から呼ばれた外部の先生なんだけど、先生が所属してる機関が Rediscovery of Japanese Cinema 日本クラシック、海外八進中! というイベントを主催しているらしく案内をもらったので行ってみた。

 26〜28日の3日間で、6本の過去の名作を劇場で見せてくれるというもの。日本の映画っていうのもかなり脚本とか演出でおもしろいところがあるし芸術的にも評価の高いものが多いにも関わらず、外国人が見られないと言う不満がある。なぜか。それは英語字幕がつかないからである。映画館はもちろん、DVDにも字幕がついている事はほとんどない。中国の映画だってインドの映画だって英語だけじゃなくてハンガリー語とかドイツ語とかフランス語とか、1枚のDVDでたくさん字幕がついているのに。なんでだろーというと、日本の映画界が、海外で売られる海賊版に対する著作権に慎重になりすぎた結果、字幕がつかなくなったようなのだ。

 んで、今回は日本にいる外国人に日本の名画を字幕付きで見てもらおうと言う企画である。今回上映される6本は「安城家の舞踏会」「二十四の瞳」「煙突の見える場所」「近松物語」「しとやかな獣」「女ばかりの夜」。ほとんどモノクロのようだ。私が見たのは「近松物語」で近松門左衛門の原作が溝口健二によって映画化されたものらしい。ていうか、50年も前の作品で、すごかったーーー。音楽はもちろん、笛と太鼓のみ。文字もレトロだし、みんな着物を着ていてなんかいい。

 簡単に言うと(見る機会もそんなにないだろうから軽くネタバレ注意)、不倫ぽい、ちょっとした誤解から好き合うどうしになってしまった男女が警察に追われながらもどうしようもなく離れられない。みたいな話。世の中は不倫だとか婚前交渉なんかは不義密通とされ、町内引き回しの上、磔の刑っていう時代だ。なのに、二人の好き合い度は現代の映画とかドラマと並ぶくらいのもので、ストーリーに全然古くささが感じられない。むしろちょっとした京都弁?関西弁?が色気を出していてとてもよかった。いくらか笑える場面もあるようだし。昔の日本人は信心深かったんだなあという感じがする。

 お客は半分以上が外人だったかな。私は、セリフが古い言葉も混ざっていて意味を理解するのに時間がかかるのもあったので、英語の練習がてら字幕を読みながら楽しませて頂いた。というか、白黒の映画なんて「早稲田大学」(映画とは違うか)くらいしか見た事ないわ!という感じではあったけど、予想外におもしろくてびっくり。明日のも時間があれば行ってみたいな、と思うくらいであった。

 こんな古い映画を見る機会というのはなかなかないだろうから、暇だったら行ってみてはどうだろう。チケットも600円とお手頃だし、ミニシアターみたいなサイズで居心地も良かった。明日は「しとやかな獣」と「女ばかりの夜」。

国際交流基金