食べ物とか旅行とか

東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

あこがれの郷愁

 アルバイトの夏休みが2週間もらえたので(自主規制)、あこがれの九州へ行くことに。その前に山口県宇部というところへ用事があったのでそのついでといえば、ついで。


 宇部というところは初めていったんだけど、「緑と花と彫刻のまち」というキャッチフレーズがあるらしく、確かに彫刻に力を入れているみたい。今回、常盤公園内にある野外彫刻美術館に行ったんだけど、なだらかな芝生に彫刻がならび、その向こうには湖もどき。とてもよい景色。やっぱり水辺の風景は心が安らぐなあとか思う。関連事業を見ていたら「大理石とあそぼう!」とかいうのがあって、すげーおもしろそう!と思った。美術ってどこの自治体も財政難でどんどんカットしている分野だと思うけど、こういう地方の都市で頑張っているのをみると頼もしい。噂では、自治体主催で世界最長の歴史を持つんじゃないかとか。
 余談だが、宇部には宇部興産という大きな会社があって、工場がある。これは町を車で走っていると見えるんだけど大迫力。工場萌えの人たちにはたまらないんじゃないかな。特に意識したこと無かった私でも「かっこえーー」と思った。前はなんか公害の枢軸ってイメージだったけど。景色としては結構よろしい。



 そして博多経由で阿蘇へ行くのだけど、驚いた。九州新幹線はまだ縦断するだけの距離完成していなかった!残念!でも心配するなかれ。本当に驚いたのは特急列車が充実していること。たとえば博多からなら大分、鹿児島、宮崎などなど主要都市へは特急電車は結構あって、しかも安い。2枚とか4枚の切符を買えば超安い。それに対抗して高速バスもものすごく発展しているらしい。


 私は待ち合わせの時間に合わせて博多から阿蘇へ向かったのだけど、熊本から「ASO1962」という電車に乗った。乗り換え案内で調べた通りに切符を買っただけなので全く心構えができていなかったんだけど、電車が入ってきてびっくり。超おしゃれなのだ。そもそも昭和時代に走っていた電車を現代風に再現した車両を2両で走らせており、全席指定といいつつ、実際の席は4人がけのボックス。ほとんどのボックスは家族連れで埋まっている。私は一人。そしたら向かい側にはもう一人、ロンリー男性が来た。鉄っちゃんって感じでもなかったけど。やたら身軽だったなあ。限定の駅弁も買っていた。


 この電車はすばらしいところが非常に多い。まずは外観と内装。外観は濃い茶色でとてもシック。昔の豪華列車という趣。内装も床は板張り、車両の1/3くらいがオープンスペースになっていて、立ちながら外を眺めたりお茶を飲んだり出来る。窓際のテーブルには手書きとワープロ書き(一部英語)の阿蘇山を登り始めてからのスイッチバックの説明とか、窓から見える阿蘇山の岳の説明とか。手書きのもあって非常に好感が持てる。

 次に乗務員のホスピタリティー。運転手と車掌以外の、直接乗客と接する人はきれいなお姉さん達。言われてみれば昭和レトロって感じの制服を着て、常にニコニコしている。切符チェックのときもとてもにこやかでいい気分である。さらに社内の案内放送もこまめ。スイッチバックの説明を放送で流してから、説明のプラカードを持って、小さな子供が居るボックス席(だいたい家族連れ)を中心に、個別に説明して回ってくれる。また、運転手の帽子と「乗車記念何月何日」って書いたプラカードを持って回ってきて「記念撮影はいかがですか」といって帽子をかぶせて写真をとってくれる。もちろん無料。

 さらに、途中駅で20分停車して橋梁と書いてあったか、日本で珍しいスタイルの橋が見られるところがあるので停車時間中にどうぞ〜というアナウンスがあった。まあせっかくなのでみてみるかと思って歩き出したらなんと、乗務員のお姉さんが黒い日傘(柄の部分には「ASO1962」と書いてあったのでたぶん備品)をさして先導してくれる。そのときにもちろん「乗車記念」のプラカードは忘れない。


 そしてうれしかったのは自転車置き場があるところ。輪行することなく、そのままの姿で乗せることが出来るのだ。さっき話したオープンスペースの、窓際のテーブルの下に駐輪場のひっかけみたいのがついてて、そこに前輪を乗せることで自転車を設置できる。ただし、そのぶんオープンスペースの片側が通路としてはデッドだけど。でもオープンスペースでだらだらする人もそんなにいなかったし、自転車のりにはうれしいサービス。実際に自転車で阿蘇山を登っている人も結構いた。


 そんなこんなで着いた阿蘇山カルデラが世界一の大きさということで有名だが、頂上にあるカルデラがその世界一ではない。あれだけでもかなり迫力あるけど、ロープウェイを降りて一番左側にある展望コースへ行ってほしい。そこから見える向こう側の山脈らしき物、そしてそれを囲むような左右の山脈、そして今いるデッキのある山脈。これがぐるっと回って1つのカルデラなのである。「あ〜盆地やねえ」と思っていたら、それが全部カルデラだからびっくり。実際に田んぼとか民家はたくさんあって、1つの町だし。
 観光客には中国人と韓国人が非常に多く、案内板も英語と日本語を含め4ヶ国語標準。ロープウェーの中でも三ヶ国語でテープで説明してくれる。さて、日本語以外の2語はどれでしょう。そう、韓国語と中国語である。ここではそれ以外の国は無視。行きと帰りで、たぶん日本語で説明するお姉さんの裁量によって韓国語だけだったりもしたので、それなら英語を流せばいいのにーと思った。もしくは英語と韓国語かな。だって中国人は英語わからなそうだから。なんつって。


 帰りに「カップルズ」という農園によってソフトクリームを食べたんだけど行ってみてびっくり。なんかおばちゃんがいろいろややこしいこと言っているなあと思ったら、なんとその場で作ってくれるアイスなのだ。私ははじめてみたんだけど、ソフトクリームが出てくるにゅっとした部分の上がじょうごのようになっていて、そこにまずバニラアイス投入、そして好みでブルーベリーかいちごを投入。いちごの場合も、つなぎのためにブルーベリーがいくから投入される。そしてもう一度バニラアイスを投入して、スイッチを入れると、それをじょうごの中でミックスしながらソフトクリームになるのである。すっげーーーーー。味は果物の甘さだけがほんのりする薄味のおいしいものだった。甘くねーけど、なんだか嬉しくなる味。


阿蘇山には牛がいっぱい。時々路上に飛び出ている。インドをちょっと思い出した。