学士様になりました

　入学して初めてとった基礎演習という授業で先生が言っていたことを思い出した。

「皆さんは４年なり５年なりここで勉強したら『学士様』になるんです。これはすごいことなんです。大学を卒業するのが当たり前になっているけど、学士様になったら胸を張って出て行きなさい。」

　学士様になった今もそんなにたいした成長は見受けられないけど、響きが好きなので気分が良くなった。毎日同じ教室で１日中同じときを過ごす高校と違って、能動的に会おうと思わなければいくらでも付き合いの薄くなる大学生活だけど、それでも濃厚な性格の友人たちのおかげで、思い出深い学生生活になったように思う。友人との関係の未来に希望を持っても失望するだけかもしれないけど、それでも同じときを共有したという事実は変わらない。その思いを糧にこれからまた新しい世界へ飛び込もうか。

　前日には曇り空の下、社会人学生と卒業記念写真をガウン着て撮った。私たちは４人だったけど、案外一人で撮りにくる学生が多いことに感心した。リーガロイヤルで行われた前夜祭でも、卒業式後の文カフェで行われた懇親会でも「一人できたから知ってる人いなくってー！」という友人に結構会った。それは、私と同じく留年して同期の学生はとっくに卒業しちゃった人が大半かもしれないけど、それでも着飾ってとりあえず来てみるという乗り込み精神はやっぱりさすがだなあと思う。一人だから何もしない、と可能性を摘むのはなんともったいないことか。お金での価値判断ではなく、好きなことを追求してゆく気持ちを仕事を始めても持ち続けていたいものである。早稲田大学で、友人たちと過ごしたこの５年間が私の宝物だ。と言えて私はうれしかばい。