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東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

Black, Bollywood Film

 インド映画は大別すると、歌と踊りに満ちた娯楽系と、歌も踊りもないストーリー重視の芸術系という2つがある。芸術系の映画も最近は市民権を得ているものの、商業ベースの製作ということになるとどうしても娯楽系にぐんぱいが上がるため、芸術系が評価されるからって若い人が芸術系を志望するかといえばそうでもない。娯楽としての映画の地位は簡単には揺るがないようだ。まあ、他に娯楽がないからな。


 で、このBlackは芸術系に属する。インド映画としては珍しく、タイム誌も「2005年で見るべき映画のベスト10」で5位に選ばれた。ベースはヘレンケラーで、それをインド人化したという感じ。でもお家はお金持ちだし、イギリスに留学したり、インドべったり感は控えめだ。


 特筆すべきは主役であるRani Mukerjiという女優の演技。めっちゃ美人。目が見えないだけでなく、耳も聞こえないのだ。目が見えなくても耳で危険を察知できるし、耳が聞こえなくても目で見て文字が読める。が、その両方がないと生きているという実感は果たしてあるのだろうか?想像の域を超えている。その演技をこの主演女優は違和感なく演じているように思うのだ。ネームバリューは先生役のAmitabh Bachchanが断トツだが、この映画に関してはRaniがすごい。一番難しいのは、世界に"ものが存在"し、それぞれに"名前がある"ことに気づくところだと思うけど、まあある日突然という点では、現実ってこんな感じなのかなとも思えなくない感じ。てゆうか、想像つかないからなー。目と耳からの情報にごまかされない分、主張もとても強い。

 いいお話であった。日本ではリリースされてないようだけど、機会があれば見てみてほしい1本。

 Black(film)