食べ物とか旅行とか

東京在住 アラサー社会人の備忘録です。

ペシャワール急行

 ひさびさにパンチの効いた本に出会ってしまった。


 私は今簿記の勉強をしている。文学部なのに、表現・芸術系なのになぜ簿記?なんて野暮な話はおいといて、とにかくこの勉強のつまらないことったらありゃしない。決められたルールにのっとって作業を進めてゆくという事はどうやら向いていないよう。まいったな。


 で、家では勉強しないので試験も全部終わった今、大学の図書館に通いながら勉強している。ここは気温がぬるくて眠くなって勉強にならないのが常だったんだけど、最近ようやく慣れたのか?集中できるようになった。しかも、今は人も少なくなってきたし、快適。なによりよいのは、休憩している時に適当に選んだ本をつまみ読みできること。文学部図書館の3階は天井も高くて文庫本もあるので、ちょうど良い。


 今日はたまたま「ペシャワール急行」という本を手に取った。「なんたら急行」というと、オリエント急行とか、深夜特急とか、なんとなくロマンを感じさせる。しかも、ちょうどその棚が民族文学系がまとめられていて、韓国やらなんやらという中に、インド文学選集も混ざっていたのだ。


現代インド文学選集1 ペシャワール急行(ウルドゥー)


 クリシャン・チャンダルという作家の短編集なのだが、その最初の作品がペシャワール急行だった。



 内容は…印パ戦争のおはなし。しかしなんか文体が変だな…と思ったらその急行列車が主語になっていた。表現もとてもなまなましく、重い。インドに行く前「インドってパキスタンと仲悪いらしいね」と知り、滞在中にもいろいろと歴史に関する本は読むようにしていたが、こんなに生々しい現実がかつてあったのかとは想像もしなかった。しかし、その狂気は、私が現実に見て来たインド人のかいま見せる狂気に相通ずるものがある。ああ、これはおそろしいな、と思わずにはいられないそんな作品。


 巻末に訳者あとがきがあり、インド文学の発展、なぜ英語文学作品が多いか、など書いてあり興味深く読んだ。

 そしてこのめこんという出版社もしらなかったが、「メコン川流域を中心に、アジアに関する本を発行してい」るらしい。この説明の仕方がオシャレだなーとちょっと思った。

出版社 めこん


 「めこん便り」なんかも読み応えがありそう。書評が赤旗に掲載されているってのはよくわかんないけど。